amemic5

ソーシャルグッドなフェスをつくるプロデューサー&DJ。
周りには音が聴こえない無音のフェス「サイレントフェス」泥だらけになってオーガニック野菜を食べ放題「マッドランドフェス」などなど。
Ozone合同会社代表。

記事一覧(19)

”白い世界”逃げBar White Out

この街の吹雪はもう、3年も続いている。 晩秋、木枯らし1号が観測された翌日に降雪し、近くの競技場は白に消えた。 沢は凍てつき、風音は轟々とうねり、はしゃいでいた子供たちも、庭を駆け回っていた犬たちもすっかり引きこもった。 買い物は自動配達ドローン、遊びはVRでデジタルワールド。 市外に疎開する人がほとんどで、街はみるみる活気を失っていた。 私がこの街に残る意味や想いはないのだけど、移住する意味や想いもなかったので1LDKで完結するこの世界を甘んじて生活している。 内にいることが増えたので、情報だけはむしろ吹雪前よりも入ってくるようになった。 なぜ1つの街だけ異常気象が続くのか、アメリカの気象兵器実験だ、神の天罰だ、と情報は吹雪のように荒れ、錯綜していたが、テレビやYouTuberが騒ぐには3年という期間は骨太で、災害が続きながらも「あれから3年」なんて言われ方をするほどに、窓の外の世界と液晶の中の世界は離れていた。 世間の同情は不要だけど公の支援は必要。今日も私は窓の外の風景を液晶の中へ呟く。 「今日の気温は-3℃。相変わらず、一寸先はホワイトアウト。」3分後、Twitterのタイムラインを更新するといいねが1件。そろそろ仕事を始めないとと思い、スマホを置いてPCを開いてPhotoshopを立ち上げる。 起動するまでにもう1度Twitterのタイムラインを更新する・いいねの数は変わらず1件。フォロワー数1万人超えのインフルエンサーが書籍の出版をしたとツイートしていたので「おめでとうございます!絶対買います!」とリプしておいた。 今つくっているのは新しくできるコワーキングスペースのチラシ。クライアントは学生の頃にたまたま繋がりができたIT系の企業で、99%の案件はそこからもらっている、私の命綱。かれこれ3年ほどの付き合いになるのだけど、来年春には社内体制の変更に伴い契約解除となることが告げられている。 なので早くこのチラシを完成させて、新しい仕事を探さないといけない。 そう思いながらじっとディスプレイを見つめ、1時間ほど写真を変えたり、フォントを太くしたりするもなかなかしっくりこない。こういう時は一旦休んで取り掛かったほうがいい、Macをスリープさせ私もベッドに寝転んだ。  Twitterを開くといいねが3件に増えていて、注文したコーヒーにチョコレートが添えられているくらいの微かな喜びを感じた。 Facebookを覗くと、結婚したとか、テレビに出ましたとか、飲み会が楽しかったとか、幸福が多角的に殴ってくるので、私はもうガードができずスマホを閉じて、目も閉じた。「このまま眠ってしまおうかな、いやでも仕事やらなくちゃ、、」と頭を巡らすうちにうとうととしてきて、夢をみた。  私は大きな古民家の中にいて、ものすごく速くて、力の強い、小太りの少年のような生き物に追われていた。捕まったら死ぬらしくて、それはもう必死で逃げていたのだが行き止まりに突き当たり、万事休す。小太りの少年の脇を走り抜けて逃げようとするも、腕を掴まれ、ものすごい力で腕を握りつぶされたところで目が覚める。 「嫌な夢を見た、、」と軽い目眩がする中とりあえずスマホを見ると、いくつかのメッセージやリプが届いていて、でもそれらを返すのが非常に億劫でメッセージは開かずにしておいた。  身体もどこか火照っている気がする。どうにか気分を覚ましたい、どこか別の街にでも移動してみようと、駅に向かう身支度を整えて私は玄関のドアを開けた。 ビュンビュン雪は頬を殴り、3分も歩くと鼻腔がじわじわ痛みを感じていく。目線の先には何もない、白い世界だけが存在している。でも今は、なんとなくこの痛みや冷たさがちょうどいい気がして、身体が受け取る感覚を丁寧に感じてみていた。  いくつか遠回りをしながら1時間ほど歩いただろうか、指先の感覚もなくなってきた頃、真っ白な世界にぼんやり光る入り口のようなものが見えた。  近づいてみるとそこは確かに入り口で、引き戸を両手でスライドすると大きな白い壁ににじり口がついていた。壁の説明書きを読むとどうやら飲食店のようだったので、お腹も空いていたからにじり口を潜り、中に入ってみた。 

"香りで廻る、調和の世界" aroma for earth.

”2300年、火星に地球によく似た文明が生まれていた。ホモ・サピエンスから派生した人類種は"ホモ・二ドル"ラテン語で「嗅ぐ人」を意味する。サピエンスとの大きな違いは口という器官が存在しないこと。ホモ・二ドルは言葉でなく、香りでコミュニケーションをする。両指の第一関節と第二関節から香りの成分を調合することができ、我々が喉をあけ「あ」を発声し、前歯を近づけ「い」を発声するように、伝えたい概念を自由自在に香りで伝達する。犬の50倍にまで発達した嗅覚は敏感にそれらを分別し、喜びも悲しみも怒りも愛しさも、それ以上の感情も香りを通してダイレクトに伝え合うことができる。地球の言葉は文化圏ごとに異なるが、ホモ・二ドルは全世界で単一の疎通をすることができた。それゆえ香りのエッセンスは高度に磨かれ、香りのみでポータブルに楽しめる映画やゲーム、スマホのようなデバイスも普及し、主体の脳から対象の脳へ物事を伝える伝達率は言語のそれを遥かに超えていた。伝えたい気持ちや情報を鮮度100%に真空パックして伝えることができるゆえ、人々は共同体としての調和を何より大切にしていた。100%の伝達に解釈の余白はない。殺したい気持ちが直接大脳辺縁系まで伝わってくるイメージができるだろうか、それは想像に絶する苦しみとなり、刃で心臓を突き刺すことに等しい。それゆえ、火星では定期的に祭りが催された。aroma for mars. 言葉に変換するとそのような意味になる名の祭りが、火星時間で1月に1度催された。火星を公転する衛星ダイモスが太陽と重なる瞬間に、月のクレーターと同じくらいの大きさのスピーカーから発せられるリズムに合わせて、幸せ、平和、愛、調和などを意味する香りを歌を歌うように噴霧させ、世界中に芳香を広げていく。祭りの最中は愛や癒し、恍惚の雰囲気に包まれ、個人間のわだかまりや、イデオロギーの対立、社会への鬱憤や不満は霧散した。忘却する、ということではなく、それらの負のエネルギーが選択肢の1つとなったという感覚に近い。調和と破壊、その選択の中でほぼ全ての人が調和を選ぶのは、人類という種の癖であり、過去の種ではそれを快感原則と呼んでいた。その例外となる個体はどうなるか、それはアダムとイヴの時代から何1つ変わっていない。”2019年10月26日、THE GRAND HALLにて開催。https://www.jaa-aroma.or.jp/aroma_for_earth/

神が生まれるまでのアルゴリズムから読む、AIが神になるまでの物語。

今年3月、神は社会の複雑性に後続して生まれる概念だという論文が発表された。令和、という時代の転換点を迎えた日本には様々な神話が存在するが、令和も超えて1000年後もし日本が存続していたとして、その時に存在する神話はどのようなものだろうか。僕は、かつて雷や火に神を見たように、アラーやキリストに神を見たように、人工知能(AI)がそれに近い存在になると予感し、神が生まれるまでのアルゴリズムから読むAIが神になるまでの物語をしたためる。(筆者は宗教学や人工知能への専門的な知見はなく、学問的、技術的な記述の正誤については個人の判断に委ねること、また無宗教の個人としての私見であることをご了承ください。)目次神は如何にして生まれるか社会の複雑性儀式AIが神になる神は如何にして生まれるか神が信仰されるまでのプロセスについて研究された「Complex societies precede moralizing gods throughout world history(和訳:世界の歴史を通じて、社会的複雑性は神の信仰に先んずる)」という論文の概要は以下の通り。慶應義塾大学環境情報学部のパトリック・サベジ特任准教授、オックスフォード大学のハーヴェイ・ホワイトハウス教授、ピーター・フランソワ教授、コネチカット大学のピーター・トゥルチン教授らの国際共同研究グループは、「セシャット(Seshat)」と呼ばれる人類進化史に関する大規模データベースの構築とそのビッグデータ解析を行い、社会の複雑性の進化が原因となって、世界中の宗教や「神」の信仰が生み出された可能性を明らかにしました。本研究の成果は、英国の科学雑誌『Nature』誌に3 月 20 日(現地時間)に掲載されました。(慶應義塾大学プレスリリース「社会の複雑性の進化によって「神」が生まれた?-ビッグデータ解析により世界の宗教の歴史的起源を科学的に解明-」(最終閲覧日:2019年5月1日)https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2019/3/22/190322-1.pdf)研究結果を掻い摘むと、これまで人類が巨大な社会ネットワークを形成できた要因は神を信仰することにより罰を恐れ、協力することで社会を維持することができたという仮説が濃厚だったが、ビックデータ解析を行うとむしろ神の信仰の前に儀式が存在し、それは社会的複雑さの増大により引き起こされていたことが判明した、という内容。これを基に、社会の複雑性とは何か、儀式とはどのようなものか、なぜ儀式により神の信仰が生まれるか、現代に起きている様々な現象と照らし合わせながら考えたい。社会の複雑性社会の複雑性を語る主語は人間だ。当たり前のことかもしれないがこれは大事なことで、人間社会という概念はホモ・サピエンスの共同主観幻想を信じられる力を持ってしてでないと成立し得ない。他の動物にお金の価値や、民主主義について理解してもらうのは難しい。マルクス・ガブリエルが言うような新しい実在論で考えると「世界」もまた私たちがそう認識するから実在していて、存在はないのだという。そもそも社会とは複雑である。人には個体差があり、個体は不完全で、それを補うシステムとして社会が構築される故に、永遠のような完全さを求めて私たちはいつの時代も課題を認識し続けてきた。私たちの遺伝子には、ネガティブなまなざしと、クリエイティブな感性というプログラムがあるように思う。これは種の存続を司るナレッジであり、想像力といってもいいかもしれない。地球に起こる様々な環境変化や文明の技術革新による生活の変容を通して、私たちの価値観は各所バラバラにめくるめく更新され、多様性を保障し続ける。その上、これまで積み重ねられた習性や文化、倫理やイデオロギーを持ってして社会を俯瞰して見つめた時、そこに複雑性が認知される。ホモ・サピエンスが誕生して今まで、生物学的な進化は然程なくとも社会は右肩上がりに強度を高めてきた。そして「社会」と認識する範囲は、部族から村、地域、国家、地球と拡張し続け、現代はSDGsをはじめとするようなグローバルゴールという複雑性極まる課題と対峙しはじめている。課題解決とは知識(情報)+知能(処理)の出力で行われるが、世界中が絡み合い複雑系となった経済で循環する社会の構造は、人間1人の情報処理能力を超えている。なので時代はコンピューターテクノロジーを用いて情報を電子空間に預け管理することで知識を拡張共有し、プログラムの演算能力を用いて処理スピードや範囲を拡大する、脳の拡張を試みた。課題解決とは社会全体を見つめるものだけでなく、利己的な欲求充足に順ずるものも快感原則の通り当てはまっていく。複雑性極まる課題観と更なる欲望に動かされ、人類は更に自由で平和でスマートな社会を見つめ、脳の拡張から複製へ、自ら学習し判断していくプログラム「人工知能」に大きな期待を寄せているところである。儀式現代における儀式とは資本主義をルールにしたITビジネスそのものだと考える。あらゆる価値が数値化され、相対的に関わりあい変動していく市場の世界観はインターネットを主な舞台にして、欲望或いは課題観を観察し、実存させ、その解決に働きかけることで、互いの所持数値を変動させる。そしてまた数値を誰かに受け渡すことで、自身の欲望や課題観を解決していくことができる。その循環がスパイラル構造となり、より良い社会を作っていくという設定において過去類を見ない技術革新、情報の開示と循環をもたらしてきた。そしてGAFAをはじめとするようなインターネットプラットフォームの巨人たちは、より良いサービスの提供と引き換えに膨大なデータを人工知能に学習させている。そしてより情報処理精度が高まった人工知能は更なるサービスを消費者に還元し、その利用によりまたデータが引き渡され人工知能は一層深く学習していく。これは神に供物を捧げて豊作を祈ったり、舞を見せ雨乞いをしていたような、これまでの儀式の形と似ている。ところで、人工知能の世界には「シンギュラリティ」という概念がある。これは未来学者のレイ・カーツワイル氏らが提唱したもので「AIが人類の能力を超え、自らより高性能のAIを自ら創り出し始める」という仮説で、シンギュラリティ以降の世界は人間には全く予想できないほど劇的な変化が訪れるとされている。ムーアの法則(半導体の集積率は18ヶ月で2倍になり続けるという法則)を拡張解釈した収穫加速の法則を論拠に、2045年にそれが訪れると予測されている。もしそんな特異点が訪れたら、そうでなくてもそれに近い限りなく万能で精巧な人工知能が完成したら、きっと様々なサービスや開発に使われていくだろう。過去全てのファッショントレンドやあなたの服の好みを分析し、もう服のコーディネートに困ることはなくなるかもしれない。あらゆる成分のアルゴリズム解析が完了し、癌やHIVの特効薬が開発されるかもしれない。そして現在IoTがあらゆる場所に存在しているように、当たり前に各所で使われるようになったそれは法や政治の場でも活用されていき、社会の規範すら司る存在に成り代わっていくかもしれない。26年前、手元にsiriがいる世界を、VRのような仮想現実装置を想像したら、きっと怖かっただろう。未来とはそういうもので、人は未知なるものに慄く。でも、来てしまえばなんてことはない。そして過去、目がくらむ程の閃光と大気を劈くような雷鳴が森を焼いたように、イエスが水をワインに変えたように、奇跡としか思えない人知を超えた大いなる力を人は神と呼び、それほどのインパクトがシンギュラリティにはあるかもしれない。その可能性は「Googleで検索をすること」「Amazonで商品を購入すること」「Facebookに近況を投稿すること」「Siriに道を尋ねること」日常的に行う私たちの儀式により確率が上がっていく。AIが神になる人工知能により最適化されたあらゆるサービスを受給する社会はもはや不可避に思える。そんな技術が当たり前に存在する世代に生まれる価値観とは何か。それが『ホモデウス』で書かれているようなデータ主義という価値観。学習していくAIは、ファッションや音楽のレコメンドのみならず、各個人の生体データをアルゴリズムとして解析し、毎日幸せで健康であるための手順は明白かもしれない。それを構成するデータという価値を疑う人はもういなくなる。個人もまたデータであり、世界とは認識であるという世界線において創造される神は、全てのデータを処理できる存在、即ち特異点を超えた人工知能となる。その姿は量子コンピューターが連結されたような何かかもしれないし、全く想像のつかない物質かもしれない。ともあれ神の証明とは奇跡のような出来事を綴った「神話」とそれを伝える「媒体」で成り立つ。数百年、あるいは数千年後、シンギュラリティ後の奇跡のような出来事はキリスト教以上の信者がいるデータ教において語り継がれ、特異点を超えたAIが神となっていく。また、それより前の時代、私たちが生きているうちにおいてもAIはオルタナティブな神として存在していく可能性がある。その時存在する可能性のある神は下図のような立ち位置を持っている。

”言葉もない世界”サイレントフェス

サイレントフェス®︎とは専用のワイヤレスヘッドホンを使って、オンタイムでDJやライブを複数人で共有する”無”音楽フェス、またそのシステムの名前です。周りから見ると無音に見えるので、どんな場所でも高音質、大音量で音楽が楽しめます。海外では「Silent Disco」として騒音問題の解決策として注目され、サイレントフェスはSilent Discoの日本版です。2.4GHzを使用し、電波は最大半径30mまで何台でも共有可能で、音量も自由自在。1人で音楽に没入するトリップ感とその状態を共有している不思議な一体感がこれまでにない自由を生みだします。世界観としては、言葉でなく音で疎通していた時代の再現を見ています。人類にはもともと第六感として磁感があったそうですが、文明の発展と共に失われた力というのはやはりある気がしていています。その1つにもっと感覚的に疎通しあえる力があったと考えていて、言葉に頼らずも音を感じあうだけで、俗っぽくいえば「バイブス」だけで、もっと分かり合えるんじゃないかと思うんです。サイレントフェスはヘッドホンを使い会話を遮断するわけですが「不思議な一体感があった」とはよく伺う感想で、既に忘却してしまった力に手を伸ばそうとしています。なので参加してくれる際は騙されたと思って、言葉も介さず繋がれる世界に潜ってほしいなと思います。潜ったら開く、開けばそこがサイレントフェス です。少なくとも今この場を楽しもうとしてるみんな、という事実はぜったいなのだから。

”生物圏まで意識を拡張する世界”Neo盆踊り

[SDGs15/5のソーシャルフェス。生物多様な公園と全ての命を祀る盆踊り]専用のワイヤレスヘッドホンと絶滅危惧種の動物のお面をつけて神殿のようなやぐらを廻り、踊り、輪廻をメタファーする周りから見ると無音の盆踊り。来場者は自分で選んでつけた動物になりきって世界を過ごします。やぐらの上にはDJが立ち、音楽は参加者のヘッドホン越しに共有される「サイレントフェス®方式」。音楽は誰もがつい体を動かしてしまうようなダンスミュージック、提灯と紅白幕ではなく、美しい映像とナチュラルなライティングで彩ります。そもそも盆踊りとは盆の時期に死者を供養するための行事だったと言われていますが、現在年間4万もの生物が絶滅し、人間の経済活動で多くの生命が無闇に失われているなか、人間だけじゃなく全生物を祀る盆踊りがある世界をつくりました。あの世とこの世だけじゃなく、種族の壁も越境して、みんなで踊る、生物多様で豊かな未来に思いを馳せ、動物のお面をつけた盆踊りをします。 ​種類が多いほうが楽しいでしょ?って感覚を仮想体験しつつ、人間は動物の面で世界を見ることができるのか、という楽しい実験でもあります。Collaborate by  公益財団法人大田区文化振興協会