

アメミヤユウ
体験作家/Ozone合同会社CEO
並行世界の物語を書き、現実の体験に開く”体験作家”
自身で描く様々な並行世界の小説を、フェスティバルを中心としたリレーショナルアートとして現実に現す”体験小説”という独自の手法で作品作りを行う。文藝と祭礼を織り交ぜ、両極併祭する夢幻的な体験設計は夢と現のゆらぎを生み、世界の幽玄に触れ、想像(創造)機会を最大化することを目的とする。
2014年に日本初のサイレントディスコブランド「Silent it」を立ち上げ、現在まで国内シェアの90%以上を誇る。2016年にはOzone合同会社を創業し、SDGsそれぞれのゴールが終わったあとの世界をフェスとして表現するプロジェクト「ソーシャルフェス®」を開始。
風呂とフロアを沸かす銭湯フェス「ダンス風呂屋」都市と農家を繋ぐ泥フェス「Mud Land Fest」aiが神になった世界を表現した「KaMiNG SINGULARITY」など未来の可能性を問いとして多種多様に表現し、令和陰陽祭「鎌倉四響祭」は東京2020オリンピックなどと並びJACEイベントアワードにノミネートされる。
手掛けたフェスティバルは全国各地で計100以上に及び、日本テレビ「世界一受けたい授業」TBS「日曜日の初耳学」など多数のメディアで特集され、独自の世界観が多くの反響を呼ぶ。
作品制作以外にもイベントやプロジェクトのクリエイティブディレクションを中心に、映画や舞台の脚本・演出、企業のコンセプト開発やブランド設計、空間のアートディレクションやサウンドデザイン、小説の執筆やDJなど、ビジネスとアートの領域を横断した様々な作品、事業を展開する。
2020年横浜に逃げ場をコンセプトにしたBar「逃げBar White Out」を開店し2025年に閉店。南足柄に新拠点「Ozone荘」を立ち上げる。同年、個展「ありて、なければ」を開催。「超知能がある未来社会シナリオコンテスト」佳作。DJとしても東は渋谷ヒカリエ、サンシャインシティ、西は大阪城音楽堂や西本願寺など、全国各地の野外フェスティバルを中心に多数出演中。

Artist Statement
コロナ禍ではステイホーム期間中にDVが増えたということがありました。人は狭い世界にいると攻撃的になりがちです。広い世界にいるとやさしくなれます。やさしさは見えない翼ね、とは風の谷のナウシカの歌詞ですが、僕らは想像力により見えない翼を授かることができる生き物です。それが時にやさしさと呼ばれたりします。
体験作家のことづくりとは、自らに、そしてあわよくば他者にも、この見えない翼を授けようとする試みです。渋谷という街を職場と捉える人もいれば、遊び場と捉える人も、寝床と捉える人もいるように、場にはいくつも階層が存在し「世界」ということもまた同じなのです。
自分が見ている世界、隣の人が見ている世界、猫が見ている世界、誰もまだ見ていない世界、想像の翼で空まで羽ばたき、自分以外の世界と関わりを持つことができれば、誰もがやさしい世界で生きることができます。そしてその連なりがこの世界全体のサイズを拡張し、誰かにとっての新たな居場所をつくります。
慈しみ、推進力を。訝しみ、揚力を。
想像の翼で羽ばたいた空で、生命に祝祭を。
またとない世界で生きるために。
川の流れのように無常、無変の生きる営み。 どこから見ても常に変わっていて、どこから見ても何も変わっていない この無変無極の場に、儚さや虚しさという情念が過る。
僕たちは言葉を用いて世界をフレーミングして 群れを成し、共に信じることで、 この情念に飲まれず耐えてきた。
それは今も尚、流れ続ける川の流れに攫われないように 必死にこしらえる救命道具。それを物語と呼ぶ。
オオツノジカのツノのように過剰に成長してしまった人の意識は 存在しない賢者の石を探すように、意味を探し始めた。
人がこの宇宙にいる意味、私が生まれた意味、この仕事の意味。 それはまるで幻のように美しい瞬きを残しながら。
その特殊な指向性が僕らの世界を生み出した。 自然は精霊になった。天の川に恋が生まれた。天地は神が創ったことになった。 大地は区画され価値になった。樹木は紙幣となり経済というルールができた。 無変無極の悠久な無に、魂が吹き込まれ、アニメーションとなった。
物語ることで意味を宿したこの宇宙の想像譚を 何度でも繰り返そうとつくったのが体験小説である。 川の流れに飲まれないように、神なき世界でも土着的に新たな希望が生産され続けるように。 神が生まれるまでのメソッドを応用し、神話を語り、儀式を行い、聖典を共編し、身体的に刻まれる 確かな体感を共に過ごすのである。
それを3年間できっちり終わらせる。宗教に発展させない。依存先にならない。 短期的な世界の始まりと営みと終わりを、最大化されたそうぞう機会の中で アートコレクティブにおける関係性の芸術として社会と接続する。
その3年間は小さな世界の文化になり歴史となり、その世界の崩壊と同時に住民たちは大きな世界に紛れ、やがてその物語にも影響を与え得る。
常に代謝し、開かれ、その時関わる人々の人生と交わる小さな世界とその歴史は まだ見ぬ未知の可能性を開き続け、忘却の海をまなざし続け、僕らと世界の物語を再編し続ける。
物語と世界のそうぞう、その反復の摩擦で時折散る火花のような一瞬の希望 そんな微かな光の中に、僕らが古代から探し求めていた幻のように美しい意味なるものがある気がしている。
またとない世界で生きるために、またとない世界を生きる。 空想と現実を一緒くたに、夢幻的に成立する未知の世界を共編する。